第12回
85番札所〜88番札所・奥の院
八十五番札所 大聖寺(西伊豆町安良里)

波風の荒れて常なき苦の海を法のみ船の渡す彼の岸
山号 授宝山
臨済宗(円覚寺派)
草創・1318~1339年
石段を登った高台に本堂が在る。本堂天井の龍の彫刻が印象的。細い石段の脇にはいくつも不動明王の石像が建ち威厳を放っている。境内からは安良里の村が一望でき、安良港が望める。冬は梅が、春は桜が美しく咲く苔生した風情ある古刹で、いかにも霊験あらたかな雰囲気を醸し出している。現在も漁業関係者、海運業関係者から深い信仰を受けている。

八十六番札所 安楽寺(伊豆市土肥)

思はずも瑠璃の岩窟を訪ねれば諸人すくう安楽の寺
山号 吉祥山
曹洞宗(最勝院・末)
草創・不明
663(天智天皇時代)行基が、当地に来て自から彫り上げた、如来像を祭祀したのが始まり。その後、山崩れで再興不能になり、荒廃が続きく。天文三年 (1534)最勝院の僧・精賢が寺を整え安楽寺と改称し曹洞宗に改宗。


八十七番札所 大行寺(沼津市戸田)

法の聲いつも専修の大行寺峯松風谷川の水
山号 祥雲山
臨済宗(建長寺派)
草創・1192(建久3)年
僧・三誉上人が創建。天保八年 (1837), 明治十三年 (1880)と二度の火災で古記録等一切を焼失し、当時の記録は建物とともに失われた。現在の建物は、旧水野領の名主・斎藤本家(入浜)を移築したもので、宝泉寺本堂につぐ村内(旧戸田村)古建築と推定される。



八十八番札所 修禅寺(伊豆市修善寺)

米の数うつす四国のほうの花願いを結ぶ桂谷の湯
山号 肖廬山
曹洞宗
草創・807(大同二年)
大日如来像(重要文化財)。
修善寺温泉発祥の寺。温泉場の中心にあり、平安初期の大同2年(807年)に弘法大師が開基。当時は地名が桂谷と呼ばれ、桂谷山寺といわれた。伊豆国禅院一千束と正史に記されたほどの格式の高い寺である。本尊の大日如来像は国の重要文化財。源範頼、頼家が幽閉されるなど源氏興亡哀史の舞台にもなった。


